便潜血陽性と言われた
便潜血陽性と言われた

普段は便の色を気になさらない方も多いかと思われますが、一見普通の便に見えても便の中に目に見えないほどごく少量の血液が混じっていることがあります。この状態の便のことを便潜血といい、陽性の方は便に血が混じっている状態といえます。
便潜血陽性となる原因は様々ありますが、最も多い原因はいぼ痔や切れ痔となります。通常、排便時の強いいきみでいぼ痔の血管が傷ついたり、肛門の皮膚が裂けることにより便に少量の血液がつきます。それ以外でも大腸がんや、大腸ポリープ、炎症性腸疾患、感染性腸炎など様々です。良性の疾患であれば適切な治療をして改善することも可能ですが、悪性疾患が原因の場合、進行していると手術も必要となり体にかかる負担も大きくなります。ただし悪性疾患であった場合に便潜血陽性となる確率は概ね70〜80%と言われています。言い換えれば大腸がんであっても20%程度の方は検査で陰性となってしまうということです。つまり毎年便潜血検査を行っていても進行がんとして発見されてしまうこともあるということです。
健康診断にて便潜血検査の項目が要精密検査となった方は検査結果をご持参の上、外来予約をお取りください。
便潜血検査が陽性となる主な理由は、便に肉眼では見えない微量の血液が混じっていることが検出されたためです。この血液は、大腸からの出血(胃や小腸からの出血では便潜血陽性にはなりにくいと言われています)が原因で便に混入します。代表的な原因は以下の通りです。
大腸がんの病変部から出血し、便に血液が混じることがあります。
良性でも出血しやすいポリープがあると、便潜血陽性になることがあります。
痔核や裂肛など肛門周辺の病変による出血もよくある原因です。
潰瘍性大腸炎やクローン病など、腸の炎症による出血。
大腸憩室出血や感染症、薬剤(アスピリンやNSAIDs(ロキソニンなど))による腸内出血も考えられます。
便潜血検査の感度(陽性であった人が本当にがんやポリープなどの病気がある確率)は50%〜80%とされています。陽性=大腸がんとは限らず、実際には痔など良性の原因が多いですが、まれに重大な疾患が隠れている場合もあるため、精密検査(大腸内視鏡検査など)を必ず受けることが重要です。
便潜血検査はあくまで「出血の有無」を調べるスクリーニング検査であり、出血の原因までは特定できません。陽性の場合は放置せずご相談ください。
肛門診察はその場で可能なため、いぼ痔や切れ痔などはその場で診断できます。いぼ痔であれば注射での治療も可能な場合がありますのですぐに治療に移行できます。
また肛門に異常がなかった場合には大腸カメラ検査を受けることお勧めします。よくCT検査やエコー検査で鑑別はできないかという質問を受けることがあります。大きな腫瘍であれば判別可能な場合もありますが、早期がんや小さなポリープはこのような検査では判別が困難な場合が多いです。最近大腸カメラ検査を受けていない方や、初めての方など、ぜひ一度お越しいただきご相談ください。当院では鎮静剤を使用したカメラも可能です。また無送気(空気を入れずにカメラを挿入する方法)にてカメラを挿入する方法をとっていますので、大きな痛みを感じることなく検査を行うことができます。
TOP