大腸ポリープ
大腸ポリープ

大腸の粘膜から内側にできるできものの総称です。大腸ポリープは主に腫瘍性(良性腫瘍と悪性腫瘍どちらも含みます)と非腫瘍性に分類されます。将来的に大腸がんになる可能性がある腫瘍性ポリープは「腺腫(せんしゅ)」といい、発見された段階で切除することが大切です。一方、非腫瘍性ポリープには炎症性や過形成ポリープ、若年性ポリープ(過誤腫性)があり、通常はがん化しにくいものです。
発生しやすい年齢大腸ポリープは一般的に40歳以上の人に多く見られます。特に50歳を過ぎると、そのリスクはさらに高まります。加齢による細胞の変化や代謝異常が背景にあり、生活習慣が影響を与えることもあります。一方で、遺伝的要因によって若い世代にも発生することがあるため、家族歴がある場合は注意が必要です。
大腸ポリープが、がんになる要因として「ポリープの大きさ」が最も関係していると言われています。上記でがんになる可能性があるポリープは腺腫と述べましたが、腺腫のがん化率は直径10mm未満で15%、10mm以上20mm未満で39%、20mm以上で65.9%であったという報告もあります。つまり腺腫は大きければ大きいほどがんの可能性が高いといえます。
多くの場合、大腸ポリープは無症状で発見され、健康診断や内視鏡検査の際に偶然見つかることがよくあります。しかし、ポリープが大きくなると以下の症状が現れることがあります。
大腸ポリープの原因は様々ですが、以下が主な要因として挙げられます。
家族に大腸ポリープや大腸がんの病歴がある場合、リスクが高まります。
高脂肪・低繊維の食事や赤身肉の摂取が多い方はポリープを作りやすくなる傾向にあります。
喫煙、過度の飲酒、運動不足が原因となることがあります。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性疾患がリスクを高めることがあります。
大腸ポリープを見つけるには、以下の検査方法があります。
最も確実な検査法であり、ポリープが直接確認できるだけでなく、その場で切除も可能です。
便中の微量の血液を検出することでポリープやがんを見つけます。
CTスキャンを使用して大腸の画像を作成し、異常を確認します。
これらの検査は早期発見に非常に重要であり、特に50歳以上の方やリスク因子を持つ方に定期的な検査が推奨されます。
大腸ポリープの治療はポリープのサイズや種類、リスクに応じて異なります。
大腸ポリープは種類にもよりますが腺腫であった場合には大きさや形によって切除するかどうか判別します。
直径6mm以上の大腸腺腫は内視鏡切除の適応であり、切除が推奨されます。直径5mm以下の隆起生腺腫は内視鏡切除しても良いですが、経過観察することも容認されます。平坦型凹型腺腫(平らな腺腫の中に一部凹んでいる部分がある)では5mm以下の病変でも切除が推奨されます。
主な内視鏡的治療法は下記となります。
内視鏡先端のスネアという金属の輪を使いポリープの茎部分を締め、高周波電流で焼き切る方法です。
高周波電流を使わず、スネアで直接切除する方法です。10mm未満の小さい病変に多く適用され、術後の出血や穿孔リスクがポリペクトミーに比べ少なく済みます。
ポリープ周囲の粘膜下層に生理食塩水などを注入して病変を浮き上がらせてから、高周波電流を用いて切除する方法です。大きいまたは平坦なポリープに用いられることが多いです。
病変が大きい場合や高周波スネアで切除困難な場合に用いられ、ナイフ状の電気メスで丁寧に切除します。当院では行っておりませんのでESDが必要な患者様はESDができる病院へご紹介します。
切除した大腸ポリープが腺腫であった場合、直径10mm以下を3個以上、あるいはhigh grade dysplasia(細胞が異常でがんになる手前の状態)やvillous成分(普通の腺腫よりもがん化のリスクが高い成分)を有する腺腫であった場合は一律3年後の大腸カメラ検査が推奨されています。
大腸ポリープ、特に腺腫性ポリープは大きくなるほどがん化するリスクが高まるため切除することをおすすめします。具体的には、5mm未満のポリープのがん化率は1%前後ですが、2cm以上になるとがん化の可能性は20〜30%以上、報告によっては60%以上にもなるとされます。したがって、大腸がんを予防するためには、腸内視鏡検査で見つけたポリープを早期に切除することが推奨されています。
切除しないまま放置すると、ポリープは成長し、大腸がんになるリスクだけでなく、出血や貧血、腸の通り道の閉塞による症状悪化なども引き起こす可能性があります。
大腸カメラ検査の頻度は、ポリープの有無や過去の状況によって異なります。大腸カメラを行い大腸ポリープがなかった場合は、一般的に2~5年に1回の検査が推奨されます。これは、大腸ポリープは加齢とともに発生リスクが高まるためで、数年に1回の定期検査ががん予防に重要とされています。
したがって、通常は「毎年」の内視鏡検査はポリープ切除後や再発リスクが高い場合に推奨されており、ポリープがなければ毎年の検査は一般的には不要ですが、3年ごと程度の検査を習慣にするのが望ましいです。検査を長期間怠ると、ポリープの進行による大腸がん発症のリスクが増すため、定期的な検査習慣をつけることが重要です。
大腸の小さなポリープ、特に5mm以下の腺腫性ポリープについては、日本消化器病学会のガイドラインで「切除してもよいが、経過観察も容認される」とされています。つまり、必ずしも切除しなくても良い場合がありますが、内視鏡を行った医師の判断や状況に応じて切除するかどうか決められます。
切除しないメリットは手術リスクや費用を抑えられることですが、デメリットとしてポリープが大きくなったりがん化するリスクがあり、定期的な内視鏡検査によるフォローが必要です。
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